J's laboratory 2

ハロプロをフットボールに脳内変換してひたすら分析するブログです。

アイドルグループにおける個性とポジションの関係性について

久々の更新になってしまいました。4、5月と多忙を極めていたために放置していましたが、再開です。個人的なタイムリミットも迫っているのでここからスパートを掛けていければなと思っている次第であります。再開1発目の内容はタイトルの通りです。随分と大層なタイトルですが、やることは今までと変わりません。

優れたアイドルグループの条件とは?

まず前提として、何をもって"優れている"とするのか。人それぞれに意見があると思うけれど管理人は「メンバーそれぞれが持つ個性を十二分に発揮し、それらをチームという枠組みの中で表現し、チーム力として還元している組織」といったような考えである。そもそもアイドル=フットボール(サッカー)という思想の下でブログを書き続けてきたのも、このような考え方のうえで多くの共通点を見出してきたからに他ならない。ま、純粋にどっちも好きだったからというのが大きいんだけどね。

よく「個性を出していけ!」というような言葉をアイドル界隈でも耳にするけど、チームでやる以上個性というものはそれを形成するパーツである。箱にしまったままであったり、型が合わなかったり、組み立てる順番を間違ったりすれば意味を成さない。メンバー個人の特徴・特性を理解すると共に他のメンバーのそれも知り、相性や全体のバランスにも気を配らなければならない。良い食材を揃えてもシェフの腕がなければ良い料理は作れないのと同様である。

ここまでの感じだと堅苦しいし疲れてしまうので、ここからは実例を出して考えていきます。ブログを放置していた間にメンバーの卒業発表があったモーニング娘。'17を例にします。

モーニング娘。'17のケース

4/29に工藤遥が秋ツアーをもって卒業することが発表されたモーニング娘。'17。現在のフォーメーションは下図。

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ここ数年のモーニング娘。はメンバーの入れ替わりによってシステムも変化してきた。ワンフォーまでは4-1-4-1(4-3-3)、2015-2016は4-2-3-1、そして13期メンバーが加入した現在は3-4-2-1である。3-4-2-1への過程は前回の記事で触れたのでここでは割愛するとして、ここでは工藤周辺の問題について考えていきたい。工藤は4-1-4-1では左サイドアタッカー、4-2-3-1ではトップ下、3-4-2-1ではシャドウの一角としてプレーしてきた。システムやポジションの名称は変わっているがチーム内での役割はほぼ同じで、端的に言えば「中盤と前線を繋ぐ1.5~2列目」のメンバーである。

工藤の存在がチーム内で大きくなっていったのは道重さゆみが卒業し、4-2-3-1のトップ下に固定された2015年以降だろう。中盤の底から卓越したプレービジョンを根底に長短の正確なパスワークで全体を操っていた絶対的司令塔を失ったことで、チームは変革を余儀なくされた。セントラルMFにはワンフォーでは道重と中盤を形成していた同期の飯窪春菜石田亜佑美がおり、また新メンバーとしてウイングの資質を備えた牧野真莉愛が加入したことで工藤がサイドを担当する必要性が減ったこともあって最も適したトップ下のポジションでプレーする状況が整ったと言える。

工藤が持つ最大の個性はアジリティー(敏捷性)の高さと繊細な技術を武器として幅広いエリアを動いてポゼッションを高め、攻撃に流動性を与えるプレーにある。そのためサイドよりも中央、また得点感覚やラストパスといった特性を考慮すると高い位置での起用(=トップ下)が最適解と導き出せる。道重を中心にワンフォーで完成の域に達したポゼッションスタイルを陣容の変化も目まぐるしい中で維持してきたのは飯窪、石田、工藤の10期トリオの能力に依る部分が大きかった。そのため工藤卒業後はチームのプレースタイルにも小さくない変化が訪れそうな予感である。

ここからはポジションごとに要求される、重視すべき能力/資質について書いていく。

ポジションごとの求められる能力/資質

CB・・・守備面での砦であり、当然のことながらディフェンス全般における高い能力が要求される。対人でのフィジカル的な強度(=歌、ダンス等のスキル)に優れ、ポジショニングを始めとした状況判断の高さを備えていることが望ましい。また、広範囲をカバー出来るスピード(=ビジュアル)やビルドアップ局面で攻撃の起点として機能するパス(=トーク)技術が現代のCBでは重視される。チームに安定感をもたらすポジションのため、リーダーシップなど精神面での成熟も大切な素養だ。

サイドバック(ウイングバック)・・・攻守に渡ってタッチライン際を幅広くカバーする高い持久力を必要とするポジション。攻撃面ではビルドアップをサポートするポジショニングとパス能力、敵陣への運ぶドリブル(=単独でのトーク)や正確なクロスが要求される。守備面では1対1の対応、DFラインとの連携による判断能力が重要となってくる。ウイングバックは1人でサイドエリアを担うため、サイドバックよりも攻撃面での貢献がより重視されることが多い。

セントラルMF・・・チームの心臓部とも表現出来るチームの要のポジションだ。一般的には①DFラインの前に常駐し攻撃の基点となりながら守備面でフィルター役をこなすタイプと、②攻撃では前線との連携で攻め上がりスペースへの飛び出しやミドルシュートなどで厚みを加えるタイプの組み合わせだがこれはチーム事情に大きく左右される。3人のセントラルMFで構成されるシステム(4-3-1-2や4-3-3など)では①のタイプが逆三角形の陣形の頂点(アンカー)、その前に②のタイプを置く(インサイドハーフ)。いずれにしてもフィジカル・メンタル両面での強度、パスを筆頭としたプレー選択の安定性など組織の土台たりえる資質が必須だ。

サイドハーフ(ウイング)・・・攻撃面において求められるのは1対1での突破のドリブル(=キャラクターを活かして仕掛ける)やオフ・ザ・ボールでのタイミングの良い走り込みやクロス、後方からのパスを引き出すライン間ポジショニングだ。縦関係を築くサイドバックとの相互理解、守備の局面ではポジショニングの正確さや、他のMFとの連携が重要となる。ウイングはドリブル突破やフィニッシュ(=トークを完結させる)などより攻撃の仕上げで能力を発揮するサイドのFWとなる。

セカンドトップ(トップ下)・・・CFの背後または周囲に位置し、攻撃面での高いタレント性が要求されるポジション。パスを引き出すための予備動作、ドリブルやパスを駆使した周囲との連携あるいは単独での仕掛けによる局面打開、瞬間的なスピードで急所を突くスペースへの嗅覚や高度なシュート技術などを備えていることが望ましい。トップ下は分類的にはMFのためセントラルMFサイドハーフとの連携、FW陣へのアシストなどチャンスメイカーとしての役割が多くなる。

CF・・・最前線で攻撃の基準点となるFWで言わずもがな高い決定力(=アイドル性)が要求される。タイプとしては大きく2つに分類されスピードを活かして敵DFラインの背後を突きゴールを陥れるタイプと、フィジカル的な強度や技術を活かしてタメを作るタイプだ。エリア内でのポジショニングや多彩なフィニッシュが要求されるのは共通している。攻撃の最終局面に役割が特化しているポジションのため、逆説的に言えば万能性は要求されない。


これらを踏まえたうえで、メンバーを分類して組み合わせていくのが基本となる。もちろんチーム事情によって個人のポジションや役割は変化するので一概には言えないけども。次回の更新ではデビュー待機組の研修生トリオ、移籍の決まったカントリー・ガールズトリオの行き先を考えようと思います。